介绍: (【磯野】引き続き、代表作の『サーカス(马戏)』をお聞きください。)
【森山】幾 いく 時 じ 代 だい かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾 しっ 風 ぷう 吹きました 幾時代かがありまして 今夜ここでの一 ひと 盛 さか り(全盛状态) 今夜ここでの一盛り サーカス小屋(帐篷)は高い梁 はり そこ...
介绍: (【磯野】引き続き、代表作の『サーカス(马戏)』をお聞きください。)
【森山】幾 いく 時 じ 代 だい かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾 しっ 風 ぷう 吹きました 幾時代かがありまして 今夜ここでの一 ひと 盛 さか り(全盛状态) 今夜ここでの一盛り サーカス小屋(帐篷)は高い梁 はり そこに一つのブランコ(秋千)だ ㋐見えるともないブランコだ 頭逆 さか さに手を垂 た れて 汚 よご れ木綿 もめん の屋根のもと ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん それの近くの白い灯 ひ が 安いリボンと息を吐 は き(「白い灯」は偽物の知識・教養を持った人たち、「安いリ ボン」は無理解に基づく賞賛の言葉、という解釈もある) 観客様はみな 鰯 いわし (沙丁鱼) 咽喉 のんど が鳴ります牡 か 蠣 き 殻 がら (牡蛎的壳)と(口を開けて空中ブランコを見る観客たちの 咽喉がガラガラとなるさまとも言われる) ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん 屋外は真っ闇 くら 闇の闇 夜は劫劫 ごうごう と(果てもない、の 意(別解あり))更 ふ けまする 落 らっ
下 か 傘 かさ 奴 め の㋑ノスタルジアと ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん (「落下傘」はパラシュートのこと。空中ブランコにぶら下がってい る自分自身のこととも、サーカス小屋のテントのこととも言われる)
【伊集院】まあこの、「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」っていうフレーズは、やっぱ覚えてますね。 【磯野】あっ、そうですか。 【伊集院】Ⓐ 。 【磯野】それぐらい、こう㋒インパクトのある言葉ですよね。……このサーカスという詩、太田さんはどう 読み解かれますか。 【太田】あの、このサーカスのブランコですよね。それでもう、逆さづりで、もうとても㋓スリリングです よね。そういう中で「観客様はみな鰯」と。こういうふうにして、最初ちょっと、危なくて、落ちたら 怖いわねとか思う気持ちがすごく、ユーモラスに(幽默地)、あの、楽しいものに変わってきて、その中に なんかちょっとペーソス(悲伤,哀愁)というか、悲しみも感じますね。 【磯野】楽しい場なんですけれども、ちょっとこう孤独に揺れてる軽 かる 業 わざ 師 し (表演杂技的演员)の寂しさとか……。 【太田】ありますね。感じますね。 【伊集院】一方こう、穂村さんだと、ここはテクニック(技巧)入ってるなと思うようなとこ、あるんですか。 【穂村】「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」は、びっくりするような独創的なオノマトペ(拟声)だけど、 Ⓑ 、サーカスの揺れるブランコのリズム と七五調のリズムを響き合わせるっていう意図なのか、無意識の㋔センスなのかがすごくある。これを 天性といえば天性のリズム感かもしれないし、テクニックといえば、もう区別できない領域だと思いま すが……。 【伊集院】それがテクニックかどうかは別として、その言語感覚みたいなものっていうのは、もうほんとに 独特のものですか。 【穂村】①この「ゆあーん ゆよーん」はびっくり……。やっぱり一回で、こんなふうにブランコ、表現す るんだっていうね。 【磯野】普通の、一般の解釈だと、「ぶーらん」とか言っちゃいそうですもんね。 【伊集院】ぶーらぶら(摆动,晃荡)。ぶーらぶら、が一番わかりやすい。ゆらゆら(摇晃)、せめて、ゆらゆら。
【穂村】一歩でもやりすぎる(做过头)と、それは無理だって、今度は突っ込まれちゃいますよね(被尖锐指摘)、 こういうオノマトペって。なんかそうじゃないよ、ブランコはって、今度、言われちゃうから、そのギ
100 分 de 名著『中原中也』第3回「『悲しみ』と『さみしさ』をつむぐ」2 2ページ
リギリ(极限)の線っていう感じがしますけどね。だからやっぱ、すごい身体感覚、なんか、運動神経み たいなものがいい人じゃないと……。言葉の運動神経が、たぶん中也はすごくいいのかなって……。 【伊集院】面白いな。 【磯野】ねえーっ。言葉の運動神経。……そして中也は『芸術論覚 おぼ え書 がき (记录,笔记)』という文章で触れてま す。ご覧ください。「『これが手だ』と、『手』という名 めい 辞 じ を口にするの前に感じている手、その手が深く 感じられていればよい」って書いてありますが、これ、どういうことですか。 【穂村】例えば、Ⓒ 、そういう ものってありますよね。それで、そっちの方が純粋で、実は。悲しいとか、好きだって言ってしまった 瞬間から、もうそれはなんか「この世のもの」になっちゃうっていうのかな。②秘 ひ めていた(隐秘)時の 無色透明の純粋さが失われるみたいな感覚は我々にもあると思うんですけど、でも言わなきゃどうしよ うもないから、手とか悲しいとか好きだとか言って暮らしてるけど、中也はそのことにすごく潔 けっ 癖 ぺき (清高) にこだわったっていう印象がありますね。「名辞以前」と彼はその世界のことを呼んでいる……。 【磯野】これですね。名辞以前。そして、言葉になる前の世界を追究していたんではないか。 最中 【伊集院】これはすごいチャレンジだな。あの、僕が思ったことと穂村さんが思ったこ とが近いかどうか聞きたいんですけど、俺の知り合いで最 も 中 なか (中间是馅儿的一种薄皮点心) を食う男、「スナフ」って言う。 【磯野】ええっ!? 【伊集院】「パクッ(大口地吃的样子)」て言わないんです。最中だけ、「スナフ」って食う。僕はその時に、感激 したんです。 【穂村】すごく僕は、それは似てると思いますね。「スナフ」って、その言葉がこの世に生まれるまでは、何 ていうのかな、なかったんですよ、あの感じっていうのは。 【伊集院】あと、それこそ「もぐもぐ(闭着嘴嚼着吃的样子)」があう、あっちゃって、みんな使っちゃってるから、 「もぐもぐ」でいいじゃない……。 【穂村】「もぐもぐ」が万 ばん 能 のう ツール(工具)だけど、本当は専用の言葉を、全ての言葉に対して、でも、専用の 言葉はとても見いだせないし……。でも、中也は詩においては、全部その「スナフ」で埋 う めようとした ……。まあ「ゆあーん ゆよーん」もそうだと思うんですけど、この世に初めて今まさに生まれ出た言 葉ですべて記述できればっていうような潔癖さが、どうもあった。……そして③詩は本当は、言葉の「向 こう」にあるっていうような、そんな感覚を繰り返し語ってっているみたいです。 【磯野】あの、さらに中也はですね、世界をこの、芸術世界と生活世界の二つに分けて考えていたんですね。 【穂村】これについては、芸術世界と生活世界って言い方できっぱりこう分けちゃうのが面白くて、誰だっ て両方に生きていて、まあ、我々はだいぶ生活世界寄りで暮らしてるけど、中也は相当芸術世界の方だ けで生きようみたいなね、意識がある時期あったと思うんですが、そこに引き裂かれてる感覚が表れて るのかな。 【磯野】もう100%こちらを目指した……。 【穂村】でも、100 パー(「パーセント」 の略した言い方)は無理だって書いてますから……。 【伊集院】でも、一度これ頭において生活しようと思うと、それは苦しいことも多いでしょうね。 【穂村】さっき友達をガンガン(干劲儿十足)訪 たず ねて行っちゃうという話があったけど、お友達は生活世界のゾ ーン(范围,区域)でふつう生きてるのに、芸術世界の使者である中也がガンガン訪ねてくると、「俺、明日 早いんだよ」とか言いたくなりますよね。でも、中也には通じないみたいな……。天使だから、芸術世 界の。そのせめぎあい(互争)が、やっぱりあるのかなと思いますね。
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【磯野】では、その後の中也の人生はどうなったのか。
【ナレーター】昭和七年、中也は詩集の 出 しゅっ
版 ぱん を目指すも、うまくゆかず、だんだん神経を病 や んでゆきまし
た。そんな時、舞 ま い込 こ んだ(出乎意料地到来)郷 きょう
里 り の母からの見合い(介绍结婚)の話。昭和八年、中也は遠 とお
縁 えん (远亲)の女性と結婚しました。同じ時期に、Ⓓ 、
。その頃に書かれた、こんな不思議な作品。 【森山】ホラホラ(喂喂,你看)、これが僕の骨だ、 生きていた時の苦労に満ちた あのけがらわしい(肮脏,讨厌)肉を破って、 しらじらと(发白)雨に洗われ、 ヌックと(蓦地)出た、骨の尖 さき 。 それは光 こう 沢 たく もない、 ただ㋕いたずらにしらじらと、 雨を吸収する、 風に吹かれる、 幾 いく 分 ぶん (有几分,少许)空を反映する。 おひたし 生きていた時に、これが食堂の雑 ざっ 踏 とう (喧闹拥挤)の中に、座っていたこともある、
三 み つ葉 ば のおしたし(凉青菜)を食ったこともある、と思えばなんとも可笑 おか しい。 ホラホラ、これが僕の骨―― 見ているのは僕? 可笑しなことだ。
霊 れい 魂 こん は後に残って、また骨のところにやって来て、見ているのかしら? 「骨」
【磯野】結婚して、ようやく心も落ち着いて、安定して平和な幸せな生活始まるかと思ったら、そんな時に この『骨』というのを詠 よ むんですね。 【穂村】自分のね、死を歌ってるんだけど、でも、なんか妙にすっきり(舒畅,轻松)してるっていうのかな、 愉快そうと言ってもいいような感じがして、それってその、さっきの生活世界からね、抜け出した解放 感みたいなものじゃないかと思うんだけど、「生きていた時の労 ろう 苦 く に満ちたあの汚 けが らわしい肉を破って」 ってあるけど、これが生活世界ですよね。ご飯食べなきゃいけない、肉があれば。でもⒺ 、
つまり、芸術世界に純粋 に、こう、行っちゃったみたいな……。生活世界がすごく充実してたはずなんだけど、でも、やっぱり じゃあ芸術はいいやとはならなくて、その幸せの中にあっても自分の死を幻想して、「ああすっきりし た」みたいに言えてしまうっていうね、その中也にとっての二つの世界みたいなものが出てるのかなあ って思いますね。 【磯野】太田さんはいかがですか。 【太田】とっても面白いですよね。骨というとすごく怖い感じがするんですけれども、結婚してね、人生の 中で一番楽しかった時だと思うんですが、そういう時でもなんか彼はいつもその、骨になった自分って いうものを、常に、幸せの中にいても、あの、意識してたんじゃないですか。 【伊集院】なんかたぶん、ありきたりの(通常的,老一套的)結婚に幸せを感じたことに対する戸 と 惑 まど い(困惑)と照 れ(难为情)は、僕あるような気はするんです。でいて(尽管那样)、あと、それが幸せだっていう、もう手の 付いた言葉(使い古されて新鮮味がなくなったこ とば。「手あかのついた言葉」のこと)で表現することは、恐らく、今日聞いたばかりの言葉を言いますけど、や っぱり違うと思ったんでしょうね。その、名辞以前で、今の自分の、もう、あんなにおびえてた死ぬこ とに対して、さほど怖いとは思っていないぐらい、日々幸せです、日々おしたしがうまいですってこと を、こう書いたんじゃないかって思えるんです。ただ、今後の人生はそう簡単では……。 【磯野】またこれから。この後、中也の人生、大きく動き出します。次回もどうぞお楽しみに。お二 ふた 方 かた 、今 日はありがとうございました。 【太田】ありがとうございました。
(横山先生に感謝です。)
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