介绍: 〈去りゆく女への詩〉
【森山】風が立ち、浪 なみ が騒ぎ、無限の前に腕を振る。 もう永遠に帰らないことを思って、酷 こく 薄 はく (刻薄)な嘆息する(文法的には「酷薄な嘆 息をする」が正しい)のも幾 いく たびであろう……。 私の青春はもはや堅 かた い血管となり、その中を彼岸 ひがん 花 ばな (石蒜)と夕 ゆう 陽 ひ とがゆ...
介绍: 〈去りゆく女への詩〉
【森山】風が立ち、浪 なみ が騒ぎ、無限の前に腕を振る。 もう永遠に帰らないことを思って、酷 こく 薄 はく (刻薄)な嘆息する(文法的には「酷薄な嘆 息をする」が正しい)のも幾 いく たびであろう……。 私の青春はもはや堅 かた い血管となり、その中を彼岸 ひがん 花 ばな (石蒜)と夕 ゆう 陽 ひ とがゆきすぎる。 私の 聖母 サンタマリア (耶稣的母亲马利亚)! とにかく私は血を吐いた……。 お前が情けを受けてくれないので、とにかく私は参ってしまった……。 それというのも私が素直でなかったからでもあるが、 それというのも私に意 い 気 く 地 じ がなかった(没志气,不争气)からでもあるが、 私がお前を愛することがごく自然だったので、お前も私を愛していたのだが……。
【伊集院】すごいね。その、一度の失恋をエネルギーに、これが書けちゃうんだから。……㋐何か、自分をこ う、震 ふる わせるものがありますね。 【磯野】もうこれ、別れてから四・五年後に書いたものなんですよね。それぐらい時間が経っての作品なんで すけども、まあ、何度もこう訴えてきますよね。 【太田】Ⓐ と思うし、去って 行ったからこそ、あの、懐かしく、あの、慕 した わしく思えた。故郷を懐かしく慕わしく、まっ、距離感を持 って思うということはありますよね。それはとっても。 【磯野】では、こちらの内容に入っていきましょうか。「盲目の秋」。「①風が立ち、浪が騒ぎ、無限の前に腕を 振る」と始まりまして、「私の青春はもはや堅い血管となり、その中を彼岸花と夕陽とがゆきすぎる……」。 ここ、独特なやっぱり表現ですね。 【太田】独特ですね。怖いぐらいにね。もう、血管の中に、そこに彼岸花と夕日、両方とも真っ赤ですよね。 それがもう、真っ赤だけれど、彼岸花も夕日もたまらなく(感情や感覚が頂点まで達して、自分の力では 抑えることができないほどであることを示す)悲しくなる……。 【伊集院】切ない(悲しさや恋しさで、胸が締 めつけられるような気持ち)……。 【太田】切ないものもありますよね。それが行き過ぎるわけですよね。これはもう、青春っていうものがこう やって、あの、激しく過ぎて行ってしまったっていう、やっぱり私、この「無限の前に腕を振る」ってね、 その言葉の重さね、こんな絶望の中にでも、あの、やっぱり生きていこうっていうね、その気持ち……。
【伊集院】美しいですね。 【太田】美しいですよ。 【伊集院】その、果てしないものの前で、㋑膝 ひざ から落ちるわけでも、立ち尽くすわけでもなくて、果てしない のは分かりましたよ、きりがない(没完没了)のも分かりました、だけど私は腕を振るんですっていう決意表 明というか……。 【太田】たまらないです、私。 【伊集院】僕、やっぱりなんか今回ちょっと思ったのは、中高生の時に中也に惹かれたのは、同じ年代だから 惹かれたんだと思うんですね。だけど、今、中也に惹かれるのは、もしかしたら、中也ってこの時、余命 (残年)がたぶんもう一 ひと 桁 けた (位数一位)な訳ですね、結果的に見ると。 【太田】そうそう。
100 分 de 名著『中原中也』第2回「『愛』と『喪失』のしらべ」2 2ページ
【伊集院】晩年ってことですよね、実は。若いんだけど。 【太田】実はね。 【伊集院】だから、中也は「若さ」にも共鳴するけど、その「晩年感」みたいなほうにも共鳴するんじゃない かな、ちょっと、生い立ちから何歳まで生きたっていう年表から始まると。そんなことをちょっと感じる んですよね。 【磯野】ええ、ええ。
〈失恋からの再生〉
【ナレーター】Ⓑ 。しかし、泰子との別れから 半年後、中也はついに一編の詩を書きあげます。「『朝の歌』にてほぼ方針立つ」と自ら記 しる すほどの、ター ニングポイント(转折点)となる詩でした。 【森山】天井に 朱 あか き色出 い で 戸の隙 すき を 洩 も れ入 い る光、 鄙 ひな びたる(带乡土气的)軍楽の憶 おも い 手にてなす なにごともなし。 小鳥らの歌は聞こえず 空は今日 はなだ色(稍浅的蓝色)らし(「らしい」を短 くした言い方)。 倦 う んじてし(厌倦) 人の心を 諫 いさ めする(劝告) なにものもなし。 樹 じゅ 脂 し の香 こう (「か」と読む のが正しい)に 朝は悩まし(烦恼) 失いし さまざまのゆめ、森 もり 並 なみ は 風に鳴るかな。 広ごりて(広が って) 平らかの空、土 ど 手 て 伝い(沿着河提) 消えてゆくかな 美しき さまざまの夢。 【ナレーター】この詩が完成した後、中也はまず小林秀雄に見せたと言われています。②佐々木幹郎さんは、 中也がこの詩になぜ自信を持って「方針立つ」と位置付けたのかを次のように考えています。 【佐々木】どういう形で今現在の自分がいるか、そして今いるままでいいのだ、ということがよく出てる詩な んですね。この詩の主人公は、みんなが朝、あの、早く起きて仕事し始めてる時間でも、ずっと長く寝て るんですね。そして私は、何もすることがない。倦 けん
怠 たい 感 かん 一杯になってる自分の心を、「早く起きなさい」っ ていうふうに諫 いさ めてくれる人はもう誰もいない。かつては泰子がそうだったかもしれない。その前は、お 母さんだったかもしれない。でも、そんな人も誰もいない。たった一人、東京で一人にされた中也がいる わけですね。この詩の中で中原中也が小林秀雄に見せたかったのは、自分自身たくさんのものを失った、 お前に女は取られるし、ということも覚えてます。女のこと何にも言ってませんよ。でも、失ったさまざ まな夢が、今こういう形で美しきさまざまな夢になって、自分の中には昇華していってるんだと。朝起き た時、たった一人で起きた時に、そういうふうに、あのこう、感じる自分がいるんだっていう……。だか ら、喪失感と倦怠感に満ちた詩ですけれども、そのままで、弛 し 緩 かん した心のままで、要するに夢が美しいも のに昇華していく、そういう世界を㋒俺 おれ は身ごもったよ、身ごもってるよっていう、これは、僕は中原中 也のやっぱり、詩人としての出発のベルの詩だと思います。 【ナレーター】たった一人になった中也が書き上げた『朝の歌』。中也は自らの喪失感と正面から向き合い、歌 うことで、詩人として再び歩き出したのです。
【伊集院】なんかこう一気に作風(作品风格)が変わったというか……。 【磯野】ようやく、この失恋の苦しみから半年かかって書き上げた詩ですね。これまでよりも、ちょっと難し い詩に思いますけれども。 【太田】そうですね。いわゆる文語(文言)定型詩ですからね。でもⒸ 、 。
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【伊集院】すごくよくわかります、これ。 【磯野】そうですか。 【伊集院】僕、ものすごい悩んで悩んで、Ⓓ 、渋 しぶ 谷 や の スクランブル交差点(行人自由通行交叉点)をぼんやり見てたら、この人全員に夢があるんだと思った。夢とか、 絶望とかあるんだと思った。あっ、俺だけのことじゃないんだと思ったとたんに、厚紙が剝 は がれるみたい に(正しくは「薄紙を剝ぐように」と言う。悪い状 態、特に病気などが少しずつ良くなっていくこと)大丈夫になっちゃった。 【太田】あらーっ。 【伊集院】俺だけがそんな深刻な目に遭 あ ってんじゃないじゃんって思ったことがあって、勝手にすごい似てる と思って……。その、土手を見てたら、土手に夢がいっぱい上がってくる、いっぱいあんじゃん、で、そ こでちょっとグッときちゃった(感動がこみ あげてくる)のは……。 【磯野】どこですか。 【伊集院】えっとね、ここのね「さまざまのゆめ」はね、平仮名で割とぼんやりと書いてる、失った方の夢の 話。でも最後ね、 「夢」こっち漢字でガチっと(組み立てなど が堅固なさま)決めるのは、何か明確に頑張ろうと思ってる感じと いうか……。 【太田】そうね、漢字の方はそうね。 【伊集院】希望がちょっと見えるんです。 【磯野】「うしないしさまざまのゆめ」と「うつくしきさまざまの夢」。 【伊集院】ちょっとなんか、計算して書かれ……。 【太田】いやそれは、十分計算してると……。 【伊集院】思いますよね。 【太田】うん、でもね、それを計算とね、中也さんの詩のすばらしさ、計算して書いたなって思わせないんで すよね。そういうこと、忘れてしまう。 【磯野】なんか淡々とこう、天井から漏れてきた光とか、こう情景を読んでるんですけど、なんかその心情っ ていうのが伝わってきますよね。 【太田】心が伝わってくる。Ⓔ 。もう一度再生 したいっていうね、そういう気持ちで、あの、描いたんじゃないですか。だから、その、こういう状態の 自分を彼は肯定してますよね。 【磯野】ちなみに(顺便说一下)あの、泰子との関係なんですけども、泰子は小林とも結局別れるんですよね。破 局(破裂的局势)して、どちらの下にも戻ることはなかったそうです。 【伊集院】なんかそんな感じする。 【磯野】あっ、ほんとに? わかります? 【太田】中也さんはね、ずっと、やっぱりいったん好きになった人のことをずーっと思いを、あの、持ち続け るという、その持続力っていうもの、そしてそれが素晴らしい詩を、ずっと亡くなるまでね、書き続ける ことができた。③そういう意味では、ミューズ(缪斯)だったのかもしれませんね。 【磯野】今日は中也が恋をして、振られて(被情人甩了)、㋓再び歩き出すという所まででした。次回もどうぞお楽 しみに。太田さん、ありがとうございました。 【太田】ありがとうございました。 【伊集院】ありがとうございました。
(横山先生に感謝です。)
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